OpenPhoto活用事例インタビュー
データは公開して終わりではない。二次利用されて新しい何かが生み出されることに重きがある。
秋田市デジタル化推進本部
主席主査 福田 森彦 様
主査 柿崎 知洋 様
掲載日:2022/10/07
- インタビュアー
- 今村・伊藤・羽山
- 書き起こし・記事構成
- 矢崎
以上 インフォ・ラウンジ株式会社
画像オープンデータの取り組みの効果を高めるために導入
OpenPhotoの導入を決めた理由をお聞かせください。
導入を決めた理由は、サムネイル表示と容量の関係の2点です。
まず1点目、サムネイルで画像が一覧で見れるというのが非常に魅力的でした。本市においても、画像データだけではなく様々なデータをオープンデータとしてあげていまして、「大森山動物園」の動物の写真なども非常に充実しているんですけれども、画像データを見る際、サムネイルが見えないので、画像のタイトル名をクリックしてようやく一つの画像を開くことができる、という、一つ一つ開いていかないとそれが分からない状況にあったのが、サムネイルで一気に表示できるというのが非常に魅力的でした。
次に2点目、本市がホームページを移行する際、画像データ自体は大量にあるものの、容量とのかねあいでどこまで掲載するか、という問題がありました。1TB(テラバイト)という非常に大きいサイズを無償で使えるとご説明を受けたことが非常に魅力的に思えました。
秋田市さんでは今までにも画像を公開されていたんですか?
オープンデータ専用サイトが、CMSで自動的に作られるようになっておりまして、画像データ・写真データをオープンデータとしてアップロードするとそれらが自動で集約される仕組み、というのは持っていました。
画像のオープンデータ化にはどんなきっかけで着手されたんですか?
以前はオープンデータを担当する情報統計課にいまして、その前から行革担当時に、オープンデータを推進する計画でした。
オープンデータって、データをオープンデータにするのが終わりではないんですよね。公開したものを二次利用してもらう、そこから何か生み出されることに重きがある。
すでに公開しているデータや、ホームページで公開しているものって誰かに使われても分からないじゃないですか。だったら著作権を守るというよりは、使ってもらうほうにしていきましょう、と。分かりやすい成果というか、簡単にできることを示したい、ということでオープンデータの基本方針を作りました。
広報広聴課や動物園など画像データを持っているところに、オープンデータという取り組みを進めるので、画像を積極的に出してもらえないかとお話をしました。進めていく地ならし・根回しの段階から画像データをお願いして、CMSで気軽にアップロードできるタイミングに合わせて進めていきました。
使われてなんぼ、という基本概念があり、写真というコンテンツが手軽に使ってもらえるのではと考えられたわけですね。
国の推奨データセット*1をやろうという判断もあったんですが、自分でデータ自体をいくつか作ってやってみたんです。
ところが、緯度経度を自分たちで正しく入力・更新できるか分からない、という相談がありました。そこが悩ましいみたいで。
施設系データの位置データを必要とするものに国土地理院などからひっぱってきたデータを貼り付けでやろうかと思ったんですが、各データ所管課に響かなくて。じゃあそこまでやらなくていいかな、と。自分が興味あるところからやってます。
画像以外のオープンデータの取り組みに関してはどのような状況でしょうか?
平成30年7月に新しくホームページをリニューアルしまして、そのタイミングで、ファイルをオープンデータとして選択し、アップロードすることができる機能が備わりました。簡単にオープンデータを集約するサイトができたところから始めて、今だいたい300件くらいのデータを掲載しているところです。
撮影日不明
ホームページやフォルダの容量ひっ迫が課題だった
OpenPhoto導入に関して、写真登録の進め方や庁内の体制、フローなどはありますか?
私共デジタル化推進本部の方で、すでにホームページで公開しているデータについて、CSVから簡単にアップロード出来るという機能を確認したいところもありまして、私が進めさせていただいて、(原課から)オープンデータ画像としてあげてよい、とあれば受ける、というように随時対応していこうと考えております。
非常に作業が簡単で、手間のかからない仕様でしたので、取りまとめをするのも大きな負担になることもなく進めていけると想定しています。
観光部門で、2月がちょうど予算がついたタイミングだったこともあって、別途サーバーをたてて「魅力発信事業」みたいなものをやろうとしているところでした。
画像も1つのコンテンツなので「動画など少し手をいれて自分たちでやっていきたい」「業者さんに委託してやっていく作業がある」ということだったので、OpenPhotoの取り組みとかぶってると言われたらあれなので、うまいことすみ分けしないといけないなと。目に触れるところが増えるという意味では、競合するものではないし、補完的にやれればいいなと考えています。
来年度事業で予算要求をしていますので、そこにズレがないように内部的な調整をさせていただいています。
私達デジタル推進本部は今年度5月にできたばかりの組織なんですが、庁内でデジタル化を推進していく中で、各部局の横連携も大事になってくるので、定例的に実務者レベル・管理職クラスの方を集めて部会のような形で進めております。
先の2月に行われた、管理職の方が集まる会議でOpenPhotoの画面をスクリーンに投影しながら、「こういった機能のものを使い始めているんです」とご紹介する機会がありました。来年度以降には具体的な展開を作っていけたらいいなと考えています。
写真はOpenPhoto以外でも管理されていると思いますが、二重管理などの問題は発生していませんか?
秋田市の場合、職員が使っている行政情報ネットワーク内のフォルダに入れていたり、広報誌を作るためのサーバに保存していたりして、撮りためているかなりのデータを持っているようでした。
使いたい・世の中に出したいとは思っているんですが、ホームページの容量の関係でできない、というところまで分かっていて二重管理という問題にはまだ至っていないです。新ホームページに移行するときに持っていけなかった昔の写真館のデータを整理して、OpenPhoto側にもっていく、というところを新年度に動かしていきたいと思っています。好きな人が結構いますので。そうなると二重管理とか、そういう話が出てきてしまうかもしれません。
昔の写真館のデータって、なんらかのハードディスクに入ってひっそりと眠っているイメージですか?
旧ホームページで公開していたので、デジタルにはなっています。
それが庁内の課のフォルダの中に入っているだけで、容量としては結構あると思われます。
我々はクラウド利用はしておらず、行政情報ネットワークという各課に割り振られたそれぞれのフォルダがあるんですが、容量のひっ迫というのも課題としてあります。
それがもしあまり使わない画像データだったら、真っ先に「どこかに寄せろ」と言われてしまうでしょう。
OpenPhotoはそういった写真の避難先というか、ちゃんと管理しつつ失われないような環境、という役割もできればと思っています。市民向けに公開するというだけではなく、市役所の内部の管理台帳的に使ってもらうというような方向性なども進化させていく構想があります。
2018年6月22日撮影
各課からも自由な発想で画像データの使い方を提案してもらえるように
OpenPhotoに期待すること、こういう機能があったらいいなとか、オープンデータをこうしていきたいとか、そういう思いがあればお聞かせください。
広報広聴課で、インスタグラム上での写真コンテストを毎年行ってまして、本庁舎建物内の来庁された方が通る場所に大きい写真パネルを飾ったりしています。
インフォ・ラウンジさんから「こういう風に使ってください」ではなく「みなさんの自由な発想で」というようなニュアンスでご紹介いただきましたので、集積されていくコンテストの素敵な画像データを「こう使っていきたい」というのが各課からどんどんあがってきてくれればいいなと考えています。市民の方から投稿があったものについては、著作権の関係もありますが、応募の際の規約などでその辺はどうにかなるのではと思います。
オープンデータを始める一番入りやすい切り口として画像データがあるっていうところを伝えられればと思います。自治体の一人だけで情報統計とかにいる担当者だったら、すぐ手が出せるのかなという感じがしました。
ひとり情シスみたいな部門になってしまっている小さい組織でも、写真オープンデータをあげてしまえばオープンデータへの取り組み開始状態になりますよね。人口統計とかより取り組みやすいかもしれないですね。
秋田県の町・村のオープンデータ公開率はゼロなんです。優先順位が低いのかもしれないですが、一応定期的にデジタル庁から発表もされているし、取組率も公開されてるので、CMSを持っていないことなどが関係しているのかな、と勝手に思ってました。同じような仕事をしていて困っているのであれば、共同でやれるインフォ・ラウンジさんのような仕組みがあることを知れば、そういったところも変わってくるのかなと思います。
撮影日不明
※1 推奨データセット:オープンデータの公開とその利活用を促進することを目的とし、政府として公開を推奨するデータと、そのデータの作成にあたり準拠すべきルールやフォーマット等を取りまとめたもの。
https://www.digital.go.jp/resources/data_dataset/
取材日:2022/03/18