OpenPhoto活用事例インタビュー
最初から大量の写真を集めなくていい。使い始めてみれば写真が集まってくるかもしれない。
文京区企画政策部情報推進課IT推進担当
課長補佐 梅田 裕次 様
主任 戸田 美菜 様
主事 三木 那津美 様
掲載日:2022/08/28
- インタビュアー
- 今村・伊藤・羽山
- 書き起こし・記事構成
- 田中
以上 インフォ・ラウンジ株式会社
画像オープンデータのニーズを知ったきっかけはハッカソン
OpenPhotoを知ったきっかけはどのようなものでしたか?
元々東京都さんとよくアイディアソンやハッカソンの連携をしていまして、事業者さんから写真を公開してほしいというニーズを頻繁にいただいていました。例えば地図情報をアプリで公開しているような民間の事業者さんに、施設の写真などがあったら利用者にとってすごくわかりやすくなるというお話がありまして、なんとか写真をもっと豊富に公開できないかと常々思っていたんです。そういう時にインフォ・ラウンジさんからOpenPhotoをご紹介していただいたので、これはいいなと思いまして、大きなきっかけになりました。
2020年6月20日撮影
文京区さんのOpenPhotoは、梅まつりといったお祭りの他にも施設が特徴的ですよね。それは東京都さんとのハッカソンで要望があったのでしょうか?
そうですね。ハッカソンのような意見交換をしているような場で、事業者さんがもう口を揃えて写真がほしいとおっしゃっていて。我々はテキストデータの公開をすることを目指していたんですけど、「あ、そっちの方が必要なんだ!」と思いまして、なんとか写真を寄せ集められないかって思っていたところだったんです。
私どもはアイディアソンのような事をやっているから写真のニーズがあるってわかったんですけど、そこをあまり把握していないと、写真を公開しようっていう気持ちにならないかもしれないですね。写真って利用用途が多い、利用者が多いってことが伝えられれば良いのかもしれないですね。
おかげさまで、OpenPhotoの利用自治体数もかなり増えてきているのですが、参考にしている自治体様はあったりしますか?
写真データっていう事はないんですけど、オープンデータという意味では、実は品川区さんをすごく参考にしています。
品川区さんは文京区より早くオープンデータに取り組まれていて、データ公開だけでなく、アイデアソンとかのイベントを独自でされていたんですよね。庁内でも職員向け研修会をされていまして、品川区さんにお願いして3、4回視察させてもらいました。そしたらその都度品川区さんが呼んでくださるようになりまして(笑)よく見に行きましたね。
庁内ポータルサイトで全職員に呼びかけ、公開用写真を収集
写真の収集はどのように行いましたか?
なかなか職員の方が自主的に写真を提供してくれるというのではないので、庁内のポータルサイトに、「皆さん協力お願いします」というような広告を出して集めたりもしましたね。
職員なら誰でも見られるようなところに、こういう取り組みをしていますという案内も含めて、持っている文京区の写真をぜひ投稿してくださいという形で案内しました。共有フォルダに入れていただくように案内したりして、そこのフォルダに随時入れていただいていてという形ですね。
アプローチはしたけど、協力が得られなかった課とかありますか?
観光コンテストとか、区主催の写真のコンテストをやったりしていまして、それはいい写真が多く(オープンデータ化を)すごくすごく狙っているんです。例えば景観コンテストという形で文京区の建物とか自然を撮ったもので、いい写真を選んでいくんですけど、やっぱりオープンデータにするっていう事を最初から周知していないので、勝手にオープンデータ化するのはまずいだろうっていうことでなかなか提供いただけてないですね。
ちなみに、今後実施される時はオープンデータとして公開するというような一文は加えて行く予定ですか?
今そういうふうに依頼中です。今度コンテストをやるときは、オープンデータとして公開しますっていうふうに言ってもらえないかって。
アプリや紙媒体でも広がる利用、問い合わせ対応業務の低減にも成功
OpenPhotoを公開して、写真を提供していただいた職員の方や庁外の市民の方からの反応はありましたか?
はい。やっぱりアプリで使ってもらったりですとか、メディアで写真を使っていただくというのは結構ありました。
お子様向けスポット情報のアプリで「いこーよ」というアプリがありまして、(スマートフォンの画面を見せながら)こことか、文京区の写真を使っておりまして、こういうのがたくさんありますね。公園などをいこーよさんで公開していただいてというのがございますね。
まさにいこーよさんは実はさっき申し上げた東京都のハッカソンにも参加されていまして、そこで「写真を公開してください!お願いします!」っていうような依頼をしていただいたのが、いこーよのアクトインディという事業者さんだったんですね。
アクトインディさんが強く要望を出していたという感じなんですね。
はい。あとはですね。いい部屋ネットさんで「街の住みここちランキング」があって、文京区がおかげさまで、首都圏の1位ではないんですけど・・・1位は中央区さんに譲っちゃったのかな(笑)・・・2位に入りまして、2位の(スマートフォン画面を見せながら)こういう写真が文京区の湯島の梅まつりのオープンデータの写真を使ってくださったりしています。これ以外にも東京都の広報誌に載ってたりですとか、それとよくマンションのチラシとかにも使われているみたいです。
それは都度事業者様が連絡をくださるんですか?
それともいつの間にか、「あれこの写真って?」と思う形ですか?
今までは、事業者さんから写真をくださいって依頼があったんですけど、そういう時に、「もうオープンデータで公開していますから、ご自由にどうぞ」っていうご案内をしております。そういう経緯で使われているのもあります。
そうすると、日々の業務の手間を低減できた面もあるんでしょうか?
はい、そうなんです。おっしゃる通り。そういうお問い合わせについてはご提供する手間は無くなっております。おかげさまで。
ちなみに、庁内はインターネットに接続できる端末が限られていたりすると思いますが、例えば画質の良い何MBかあるようなファイルを庁外の人に送ろうとすると、手続きが大変だったりしますか?
はい、そうですね。今文京区の環境上のインターネットと写真を保存している場所って分かれているので、物理的に手間がかかっている面はあります。
なるほど、そこはOpenPhotoのようなところにアップロードして、「勝手にダウンロードしていってね」ということができると、省力化にもつながるかもしれないですね。
はい、そうですね。おっしゃる通りです。
2015年2月27日撮影
最初から大量の写真を集めなくてもいい
OpenPhotoの導入を検討されている自治体さんにメッセージはありますか?
我々も導入時に一番苦労したのは、写真をどうやって集めるかということかと思います。
それはどのように解決したのでしょうか?足で稼ぐというか、一つ一つの課を行脚する感じですか?
そうですね(笑)一つのアンサーはそうかもしれないです。あとは、最初から大量の写真を集めなくてもいいのかなとも思いますけどね。うちはたまたま広報課とかに大量な写真があって、「もう好きなだけ使って良いよ」みたいに言ってくれたんですけど、別にそこまで頑張らなくても良い写真が例えば30枚あれば多分インフォ・ラウンジさんが見栄えの良いサイトを作ってくださると思うので、まずは始めてみて公開してみたら皆さんが「あ!良いね」と言ってだんだん写真が集まってくるのかもしれませんしね。
統計データのオープンデータと比較した時に、写真のオープンデータの方が使われやすいなといった肌感覚はありますか?
それはありますね。テキストデータも確かにダウンロード数って物によっては多いんですけど、テキストデータは反応がないんですよね。ダウンロードはあっても、こういう風に有効活用されましたってあんまり聞かないんですが、写真は色々なきっかけで連絡いただくこともあります。写真はいこーよさんがプレス発表をしてくださったり、アプリの中にこれは文京区のオープンデータを利用してますって書かれてますから、「あ、これもこれも文京区なんだな」っていうのがわかって我々も少し励みにさせていただいています。
やっぱり使われないと庁内の説得とかも難しいですよね。
そうなんです。庁内でもやっぱり「これ使われたよ」っていうと次回協力しやすくなるかなというのはあります。
欲しいのは利用者や他の自治体とつながることができる媒体
今後のOpenPhotoに期待することはありますか?
利用者と登録をしている団体が横につながっていくための媒体になってほしいなって思っております。例えば同様のタグがついている他団体の写真を関連写真としてサジェストするとかしていただけると、利用者がA区のオープンデータを探している中で、B区C区の情報に触れられる。そうすると一つのページから色んな自治体の保有する情報と出会うきっかけになるんじゃないかなと思っていて、そういう横の繋がりを持つ機能があるといいなと私は思ってます。
それはステキですね。桜っていうと全国の桜がみられるみたいな。
利用者からの声が届きにくいっていう事がありまして、利用者からリクエストフォームみたいなものを送れるようなシステムにしていただけると、こういう写真をあげてほしいんだなとか、職員に声をかけて「公開できる写真はないですか」とか聞けたりしてもっと充実するのかなと思っています。また、各写真の閲覧数とかいいねとかのボタンがあったら、利用者がどういう写真を特にほしがっているのかがわかるかなと思いまして、そういう反応をこちら側から見られる仕組みがあったらいいなと思いました。
取材日:2022/03/22