OpenPhoto全国版 OpenPhoto全国版

OpenPhoto活用事例インタビュー

焼津市インタビュー時の様子

大きな力になったのは市民。横断的に写真を収集・公開する仕組みを構築し、さまざまなニーズに迅速に対応。

行政経営部DX推進課 スマートシティ推進室
室長 早川 隆之 様

行政経営部DX推進課 DX推進担当
主任主事 有賀 友彦 様

掲載日:2023/05/18

インタビュアー
今村・伊藤・羽山
書き起こし・記事構成
今村

以上 インフォ・ラウンジ株式会社

ニーズとプロモーション業務効率の最適化ソリューション

インタビュアーOpenPhotoの導入を決めたきっかけや理由をお聞かせください。

早川
さん
写真を公開したいとは以前から思っていました。ただ実現するには課題が二つありました。まず、その写真を集めて公開するためのルールを決める必要があるという点が一つ。もう一つは、公開する場所が無いという点ですね。
この二つの課題を解決する方法、特に場所についてはなかなか良いものが見つからなかったのですが、僕らがオープンデータの担当になり、OpenPhotoは有賀が見つけてきてくれたのがきっかけでした。
OpenPhotoについて調べると、実は家族の縁がある自治体がOpenPhotoを採用していたりもして、よい公開場所を見つけたこともあって写真を集める仕組みを考え始めました。

有賀
さん
オープンデータの担当になったときに、早川から、画像のオープンデータをやっていきたいという話を聞き、まずインターネットで検索してみました。
するとOpenPhotoというのが出てきて、タイル表示や地図表示、タイムライン表示ができるというこの3つの機能がとても良いなと思いました。
他の自治体でも、画像を公開はしているところはあるのですが、ZIPファイルになっていたりして、どのような画像があるのか分からないところがありました。OpenPhotoを利用している自治体では、タイル表示機能でどんな写真を公開しているのかがすぐにわかり便利だなと。とにかくタイル表示がとても気に入りまして、まずやってみようかと思いました。
実際に導入を決めた理由は、1TB無料というところがよかったなと。実際に費用が発生しないということで導入に反対する声は無かったです。

早川
さん
以前に広報担当だったことがあるのですが、マスコミや市民の皆様、そして庁内からもよい写真がないか、使える写真ないか、そしてそれはどこにあって、どのように受け取ればよいのかという問い合わせが多くありました。
広報で撮った写真を使いたいというリクエストもあるのですが、どのようにして写真データを渡していたかというと、わざわざCD-Rなどのメディアを持参してもらい、焼いて渡していました。ニーズはあるんですよ。マスコミからも、焼津らしい写真素材がほしいという要望も来ていましたが、その都度探し出して、提供可能なのか確認することにかなりの時間がかかっていました。
ニーズがあって仕事として取り組むけれども、効率が悪いとは思っていて。すでに公開されている素材ならば、インターネット上で共有できる場所がほしいと思っていました。共有場所がわかっていれば、マスコミ、市民の皆様、庁内からも自由に使えるようになり、結果としてプロモーション活動の効率を最適化できるとも思っていました。

アートプロジェクトで市民から提供された写真の中から137枚をオープンデータ化

インタビュアー画像オープンデータ以外の、いわゆる普通のオープンデータとかそういう関連で何か取り組みをされていたことはありますか?

有賀
さん
2020年4月からオープンデータの担当をしています。その時は国が定めた推奨データセットを公開しようと取り組んでいました。その公開をしている際に写真のオープンデータにも興味を持ちはじめました。
焼津市役所には「市役所若者倶楽部」という、入庁2、3年目の若手職員が自分たちで考えて事業化する取り組みがあるのですが、そのなかの2021年度の事業として写真を市民の皆様から集めて、モザイクアートを作成しようという企画がありました。
庁内外から4884枚の写真が集まり、モザイクアートができました。その集めた写真を、オープンデータにできたらと思いまして、137枚をオープンデータ化して、さらに庁内で保有していた写真の中でも公園とか公共施設とか風景といったもの300枚以上を公開できました。
写真をオープンデータ化できたことで子育て応援サイト「いこーよ」に掲載してもらえることになり、それをきっかけに、公園一覧の情報や焼津市あかちゃんえきの写真や情報がオープンデータとして整備されました。

インタビュアー焼津市OpenPhotoで公開されている写真はとてもバラエティに富んでいると思います。OpenPhotoに登録するときのフローや体制があるのか教えていただけますでしょうか?

有賀
さん
ある程度利活用されると想定される写真データがあったら、DX推進課から各課に声をかけて、賛同を得られた課から写真を提供してもらう形になっています。
写真提供時に入力してもらう規定のフォーマットを用意しています。例えば写真の名前、住所、備考などの簡単な情報と画像のファイル名を入力してもらい、それをDX推進課で受けて一括公開するという流れになっています。

インタビュアー庁内で連携をされているのですね。何か苦労した点はありましたか?

有賀
さん
苦労した点としては、その画像が公開可能かの判断が重要になりまして。市民の皆さんからいただいた写真を公開したという話をしましたが、公開したい写真はもっとたくさんありました。
例えば焼津らしい海の風景、船の写真といったものをもっと公開したいのですが、海だと市の管理ではなかったり、船だと所有者の同意を得なければいけないとか、そういう事情から例えば公園の写真とかでも人が写っているとその人の許可を取らなきゃいけないですとか、あと駐車場の写真ですと車のナンバーが写り込まないようにするなど、そういったところを確認していくところは大変だなと思っています。

早川
さん
船は大変だったよね。

有賀
さん
船は特に大変でした。公開したい写真を一覧にして、全部確認してもらえるようにDVDに焼いて、漁協さんに確認してもらい、OKなものだけ公開しました。

インタビュアーその過程もすごいですがそれだけの作業をされてるというのは母数もかなりあるなというか。

有賀
さん
本当にたくさんの写真が集まったのですが、実際に公開の許可が取れたのは一部でしたね。

早川
さん
オープンデータにしてよいデータをどう定義づけていくのか難しいという点が課題だと思います。撮るときからオープンデータとする意図を持って撮らないとなかなか難しいですよね。

小川港

2021年1月1日撮影

庁内の掲示板でオープンデータの活用状況をシェア

インタビュアー市民の方々や庁内から、公開された後の反響はありましたでしょうか?

有賀
さん
「いこーよ」に利用していただいたことでオープンデータ化するメリットがわかりやすかったっていうのがありますね。
オープンデータについて一人でも多くの職員に知ってもらうために、市で公開しているオープンデータが、毎月どれだけダウンロードされているのか、庁内のグループウェア内にある掲示板で共有しています。
そこで、オープンデータ(公園一覧やあかちゃんえき一覧)とOpenPhotoで公開した画像がどのように活用されているか示すことができて、庁内にオープンデータの有用性を伝えられたのが良かったと思います。
あと先ほどお話しましたが、庁内でも利用がされるというところがありまして、「こんな画像を探してるんだけど」というときにまずOpenPhoto探してくださいということが言えたりですとか、OpenPhotoを見た市内の民間事業者から、例えばチラシにあの画像使いたいんだけどみたいな、そういったお問い合わせもいただくようになりました。

早川
さん
焼津市のOpenPhotoを見てもらうと、施設の内部の写真が多いのがわかると思います。
それは例えば公民館はその会場の広さとか、どんな感じなのかを知りたいってなると思うんですよね。
コロナウイルスのこともあり、実際に確認するのが難しかったりすることもあったので、施設や部屋の雰囲気などを全て見てわかるような形で公開しておいて、焼津市の公式ホームページからリンクすることで、市民サービスの向上につながったのではと思っています。

インタビュアー確かにトイレの写真が充実していて、本当に大切だなと感じました。

有賀
さん
トイレの写真は、子育て関連の事業で赤ちゃんのオムツ替えや授乳ができる「あかちゃんえき」というのがあるのですが、「いこーよ」にその情報も載せてくださることになり、せっかくならどういうトイレなのか判れば安心して使ってもらえると思い、「あかちゃんえき」のトイレの写真をかなり多く公開しています。

焼津市役所 本庁舎 1階授乳室

2022年3月31日撮影

市民が写真収集の大きな原動力に

インタビュアー実際に今写真を提供してくださっている部署がいくつぐらいあるか、またどういう部署が写真提供してくださってるか教えていただけますか?

有賀
さん
「子育て支援課」や「河川課」、公民館は「スマイルライフ推進課」、あと広報を作成している「シティセールス課」の写真が共有されています。観光関係の写真は焼津市観光協会から提供されているものもあります。観光協会が毎年、市民の皆様から集めた写真を使ってカレンダーを制作しているのですが、OpenPhotoで公開することを明示して募集してもらい、その写真もOpenPhotoで公開しています。
あとは各施設の写真は、その施設を所管する課から提供を受けています。

早川
さん
公園は「若者倶楽部」ではじめて。

有賀
さん
そう、公園はこの「若者倶楽部」の中で実際に写真を撮りに行って集めたんです。あと都市整備課からも提供してもらっています。

インタビュアー今名前があがっただけでも6、7課の方から写真をいただいているんですね。

有賀
さん
施設を所管する課というと「文化振興課」からも提供してもらっています。

早川
さん
「若者倶楽部」で写真に取り組んでいたのがかなり大きいです。

有賀
さん
ほんとそれが大きいですよね。

早川
さん
若手職員が企画の趣旨を説明して、それに賛同・協力してくれる雰囲気が庁内にできたから、たくさんの写真を公開できたよね。

インタビュアーその若者倶楽部には多分いろんな課の方が属してるというそういうことなんですか?

有賀
さん
そうですね。入庁2~3年目の年齢も所属も様々な職員が集まって活動します。

早川
さん
あとは、大きいのは市民だよね。

有賀
さん
そうですね。

早川
さん
市民の皆様から写真を頂く仕組みをその時イベントで作ることができて、実際にたくさんの市民の方から写真を提供してもらい、結果OpenPhotoにも100枚以上の写真を掲載できました。

インタビュアーすごい仕組みですね。モデルケースじゃないですかこれ。

有賀
さん
ときどき問い合わせが来ます。

インタビュアー素晴らしいですね。

石津海岸公園

2019年8月4日撮影

取材日:2022/11/07

焼津市OpenPhoto